第3回 「部下を育てる上司、潰す上司」エンゲージメントを高める管理職の条件

CONTENTS
3-1.「飲みに行こうか」が若手を追い詰める
3-2.なぜ部下は悩みを相談できないのか
3-3.飲みニケーションではなく、仕事を通じた支援こそが管理職の役割である
3-4.達成感がエンゲージメントを生む
3-5.管理職の役割は問題解決を支援すること
3-6.「助けて」と言えなかった職場の悲劇
3-7.プレイングマネジャーの限界
3-8.人は教えれば成長する
3-9.人材育成は未来への時間投資
3-10.なぜ旧来型マネジメントは通用しなくなったのか
3-11.「抑圧委譲の原理」が残る組織
3-12.世代間ギャップをどう乗り越えるか
3-13.相談できる組織が人を守る
3-1.「飲みに行こうか」が若手を追い詰める
彌冨:ここまで、管理職の役割や健康経営の考え方についてお話を伺ってきました。一方で、現場ではプレイングマネジャーの増加やプロジェクト型業務の拡大などにより、部下の状況を把握し、育成や支援に十分な時間を確保すること自体が難しくなっているという現実もあります。そうした環境の中で、管理職はどのように役割を果たしていけばよいのでしょうか。江黒先生、この点について改めてご質問をお願いできますでしょうか。
江黒:ここまでのお話を踏まえて、現場の管理職が実践すべきポイントについて、改めて整理して伺いたいと思います。昔のように時間をかけてコミュニケーションを取り、「あの上司はいい人だよね」という人柄が自然に伝わるのであれば、それはそれでいいと思います。ただ、最近は単発のプロジェクト型業務が増えてきて、相手のことを深く知らなくてもかまわない、仕事の表面的なつき合いだけで十分だ、と考える若手も多くなってきました。本人がそれでよいのであれば問題ないのですが、その場合、ふだんの様子が分からないので、何か不調があっても気付きにくいんですね。しかも、ふだんは「仕事さえできればいい」と言っていた人が、いざトラブルが起きると「何でやってくれないの」と不満を口にして、結局トラブルになってしまう。そうやって部下に積極的に関わろうとしない上司も多い中で、ラインケアを進めていくのはなかなか難しい時代だと感じています。いわゆる「飲みニケーション」もできないこの時代に、どうやってラインケアをしていくのか、部下の不調にどう気付いてあげるのか。人事としては勤怠データから変化に気付くようにはしているのですが、それ以外に何かポイントがあれば、ぜひ教えていただけるとありがたいです。
岡田:私の経験ですが、高ストレス者の面接指導をしていると、20代の方からこんな話を聞くことがあります。
仕事で悩んでいると、上司がやってきて「悩んでいるんだったら、一杯飲みに行こうか」と声をかけてくれる。そこで「仕事はひとまず置いておいて行こう」となって、一緒に飲みに行くわけです。
ところが、「実はそれが一番つらかった」という声が少なくないんです。
つまり、本人は仕事で悩んでいる。どこでつまずいているのか分からず困っている。その時にかけられる「一杯飲みに行こうか」という言葉が、本人にとっては必ずしも救いになっていない。むしろ、仕事で悩んでいる時ほど、その言葉が一番つらいと感じている若い人たちがいるんです。
仕事で悩んでいる時に『一杯飲みに行こうか』と言われることほど、つらいことはない。
3-2.なぜ部下は悩みを相談できないのか
誘いを断ろうとすると、「どうして断るんだ」「せっかくおごると言っているのに」と言われることがある。そこで勇気を出して、「実はこの仕事がよく分からないんです」と相談しても、「そんなことも分からないのか」と思われるのではないか、と不安になる。そうすると、「自分の評価が下がるのではないか」という気持ちが働いて、なかなか本音を言えなくなってしまうわけです。
若い方のお話を聞いていると、本当に悩んでいるんです。こちらからすると、「今ここで仕事が止まっています」「作業が進んでいません。」と素直に言ったほうがいいと思うんですが、それが言えない。なぜかというと、それが自分の評価に直結すると考えているからです。
だから、一番つらいのは飲みに行く時間なんです。本当は仕事のことで悩んでいるのに、それを言えないまま時間だけが過ぎる。そして飲み終わった後は、また職場に戻って、その仕事と向き合わなければならない。結果として、高ストレスの状態になってしまうわけです。
そこで私が「だったら、正直に言ったらいいじゃないですか」とお話しすると、「いや、それを言うと自分の評価が下がるんです」と返ってくる。「はっきり相談したらいいじゃないですか」と言っても、「それを言ったら将来に響くかもしれません」と。
職場の話を聞いていると、今の若い人たちは、自分の能力や評価に対して非常に敏感で、そのことがかえって相談を難しくしている面もあるのだろうな、と感じるんです。
3-3.飲みニケーションではなく、仕事を通じた支援こそが管理職の役割である
それは逆に言えば、管理職研修でもよくお話しすることなんですが、部下が仕事で悩んでいるのであれば、「飲みに行こうか」というプライベートなコミュニケーションではなくて、「どうした?」と声をかけることが大事なんです。
そして、「どこのプロセスで止まっているのか」「何が未解決なのか」を把握し、その課題を一緒に整理してあげる。必要に応じて教えたり、方向性を示したりする。それこそが管理職の役割ではないでしょうか。
3-4.達成感がエンゲージメントを生む
若い方たちは、仕事をやり遂げた時、本当に明るい表情をするんです。悩んでいた仕事でも、上司のガイドによって乗り越えられた時には、晴れ晴れとした顔になる。これがエンゲージメントに繋がると思うんです。
そして、そのきっかけをつくれるのが管理職なんです。ところが、ワークコミュニケーションを「飲みニケーション」に置き換えてしまうと、かえって部下のエンゲージメントを損なうことがあります。
部下と管理職の共通言語は仕事です。趣味や価値観は20代と50代で違っていて当然ですが、仕事で悩み、仕事で成長するという点は共通しています。
だからこそ、部下が今どこで悩んでいるのかを理解し、上司として支援する。その積み重ねが信頼関係を生み、仕事を乗り越えた達成感がエンゲージメントにつながる。私は管理職研修でも、そのことを繰り返しお話ししています。
3-5.管理職の役割は問題解決を支援すること
だから、例えばこの部下の能力が100あるのに、仕事の進捗が50しかないとしたら、当然どこかおかしいわけです。どこかで悩んでいる、あるいは詰まっているんです。
そこで、「どこで今詰まってるの?」と聞いてあげて、そのポイントを的確に指導してあげる。そうすることで部下はまた前に進めるし、成長していくわけです。
逆に、そこを放置してしまうと、本人はどんどん切羽詰まってしまう。
3-6.「助けて」と言えなかった職場の悲劇
ある自動車会社で実際に起きた事例ですが、部下が切羽詰まって助けを求めたにもかかわらず、上司から適切なサポートを受けることができなかった。結果として、自殺に至ってしまった事例です。上司自身が部下の仕事を十分に理解しておらず、サポートできなかったわけです。海外との契約業務で時差もあり、非常に負荷の高い仕事でした。
こうした事例を見ると、管理職は自分の部下がどんな仕事をしているのかを理解し、必要な時に指導や支援ができなければならないと思うんです。部下はサポートによって成長していくわけですから。
私自身も企業の産業医を専門医や指導医へ育成する際には努力しました。毎日のように問いかけをし、何度も同じことを確認しながら基礎をつくっていく。そうして、いつでも自然に答えられるようになった時に、「成長したな」と感じるわけです。そうした人材育成の大切さを、私は企業の中で学んしてきました。
3-7.プレイングマネジャーの限界
ところが大きな問題はプレイングマネジャーで、部下に教える時間がないとなった時に腹が立つんですね。上司としては腹が立つ。部下を教えることで自分の業績が下がると思うと、時間が惜しいわけです。
私の会社にも非常に優秀なマネジャーがいましたが、部下を教えている時間があるなら、お客様のところへ行って営業して、取引を成功させたいというぐらい仕事に燃えている方がいたわけです。
ここのバランスをどう取るのかというのは、経営者の戦略的な判断が必要になります。実際、かつては特任部長という役職を設けて、優秀なプレイヤーにはあえて部下を持たせないようにしていました。企業にとっては非常に稼いでくれる人材ですから、別動隊として仕事に専念してもらっていたんです。
一方で、面倒見の良い上司は、部下を自分の机の前に呼んで、「どこが分からないんだ」と丁寧に指導していました。私が産業医として職場巡視をしていた昭和の時代には、そういう上司がたくさんいたんです。
ところが平成の中頃からは、そういう上司が少なくなってきました。メールを送るから読んでおいてくれとか、eラーニングで学んでいるだろうとか、あとは自分でやってくれという流れになってきた。その頃から、職場のコミュニケーションや人材育成のあり方が変わってきたように感じています。
3-8.人は教えれば成長する
私も特に感じたのは、会社から急にiPhoneを渡された時のことです。「取扱説明書を読んでください」と言われたんですが、それまで使っていた携帯とは全く違うわけですから、「今日から使ってください」と言われても、なかなか使えないんですね。
そこで、iPhoneを使っていた次女に教えてもらうことにしました。3時間ほど教えてもらったら使えるようになった。この経験は私にとって大きなショックでした。
つまり、上司が最初にきちんと教えてあげれば、部下は成長するんだということが、非常によく分かったんです。逆に言えば、そこをなおざりにしてしまう上司は、部下の成長を妨げてしまうことになるんだと。
3-9.人材育成は未来への時間投資
それを私は管理職研修で散々お話ししています。
例えば、自分の子どもが「勉強が分からない」と言った時、自分の分かる範囲で徹底して教えますよね。それを放置するということは、普通はあり得ない話です。
そういう話をすると、案外管理職の方も理解してくださるんです。私がお伝えしたいのは、最初の1時間をきちんと使ってほしいということなんです。
部下が困っている時に1時間時間じっくり向き合う。その1時間を惜しんだ結果、部下が精神的不調になったらどうでしょうか。その後の対応には、管理職はもっと多くの時間を費やすことになります。まして労災や裁判になれば、その負担は比較にならないほど大きくなります。
だから私は、「ここでの1時間の投資が、将来どれだけ大きな効果を生むのかを考えてください」とお話ししています。
もし今すぐ時間が取れないのであれば、「この仕事が終わったら1時間だけ話をしよう」と言ってあげればいい。その1時間が健康経営における最初の時間投資なんです。その投資が、将来の大きなリスクを低減することにつながります。
健康経営には、時間投資、空間投資、人間投資という3つの投資があります。その中でも、管理職の時間は非常に価値が高い。だからこそ、その1時間を部下のために使ってほしいんです。
その時間が優秀な人材の育成につながり、上司の優しさや思いが部下に伝わる。そして、それが企業の価値、組織の価値につながっていく。私は管理職研修の中で、そのことをかなり強くお話ししています。
3-10.なぜ旧来型マネジメントは通用しなくなったのか
江黒:ありがとうございます。だからこそ、1on1の能力を上げていく必要がある、ということですね。
岡田:そうですね。
江黒:今のお話で、いろいろなことがつながって、なるほどと思いました。それで、ついでもう一つ伺ってもいいですか。
実は私の娘が小学校の教員をしているのですが、最近、教員が次々と辞めていくという話を聞いて、少し気になっているんです。校長クラスになると「こうあるべき」というルールにしっかり沿って動ける方が多いのですが、副校長レベルになると少し様子が違うようで。具体的には、娘から二、三日前に言われた話なのですが、副校長が「職務命令ですから、やってください」と、自分の雑用を無理やり押しつけてきたそうなんです。
その雑用というのは、具体的には、事務員さんが席にいなかったので、校内放送で呼んでほしい、という内容だったそうです。
副校長のほうが放送設備に近い場所にいて、しかも特に忙しいわけでもないのに、「職務命令だから、おまえがやれ」と言われたそうなんです。それで娘は「お母さん、職務命令って何だろう」と、ずっと考え込んでいました。
娘としては、生徒のためなら何でもやるけれど、上司の指示にどこまで従わなければいけないんだろう、と。なかなか面白い悩み方をするなと思いながら聞いていました。
でも、これは担当している顧問先でもよくある話で。昔の管理職は、部下が上司の気持ちを整えてくれるのが当たり前で、「上司の機嫌が悪いのは部下のせいだ」という理屈が成り立っていたと思うんです。実際、部下は上司の機嫌を取るために動くものだ、という感覚の人が、今でもとても多い。
ですので、「大人なんだから、自分の機嫌は自分で整えましょう」という話をすると、すごく驚かれるんです。「えっ、何で?」と。「部下がこんな変なことをするから、自分の機嫌が悪くなったんだ」という感覚なんですね。一方で若い人からすれば、「どうして上司の機嫌をこちらが取らなければいけないんだ(大人なのになぜ機嫌をコントロールできないんだ?)」と感じる。そこに大きな温度差が生じています。
おそらく教員の世界で先生たちが辞めていくのも、こうした古い価値観が根深く残っているからではないか、という気がするんです。古き良き時代の価値基準とでもいいますか。昔をすべて否定したいわけではないのですが、研修等で「上司に求められるものは変わってきていますよ」とお伝えすると、「部下に媚(こび)を売れ」という意味に受け取って、なかなか受け入れられない方がとても多い。ご自身のためにも変わったほうがいいですよ、とお話ししているのですが、なかなか難しくて。この辺りについて、何かいいアドバイスをいただけないでしょうか。
3-11.「抑圧委譲の原理」が残る組織
岡田:それは非常に難しいですね。
私は御堂筋沿いにあった会社にいましたので、当時はさまざまな大企業に呼ばれて講演をしていました。10年、20年前の話ですが、部長職以上や取締役の方々に、「皆さんは部下の育成やラインケアについて、何か研修を受けられたことがありますか」とお聞きすると、「そんなものは全く受けていません」という答えが返ってくるんです。
もう一つ、私が国の行政機関の健康管理センターの管理医をしていた頃の話です。管理職の方々に「部下にきちんとあいさつしてくださいね」とお話ししたところ、「はい」と返事はされるんですが、その後で「部下があいさつしとらんから、わしはせん」と言われるんです。
「あいさつは部下からするものだ」と。
そこで私は、「いやいや、そうじゃなくて、皆さん方が先にあいさつをして、その返事や声の調子から、今日の体調や様子を把握するきっかけにしてください」とお話ししたんですが、「それはけしからん」と逆に怒られてしまいました。
20年前は、管理職があいさつをするものではなく、部下が先にするものだという考え方が当たり前だったんですね。A社の管理職研修でも、そういう方がたくさんいらっしゃいました。つまり、管理職として部下を育てるための教育を受けておられなかったわけです。。
その背景には、先ほどお話しした「抑圧委譲の原理」があります。上から厳しく当たられると、その圧力を今度は下へ返してしまう。大阪弁で言えば、「上からどつかれたら、今度は下をどついてしまう」というような構造です。そうした構造は、日本の組織に根強く残る病理的な社会構造の一つだと思います。そして、そうした価値観が、今もなお組織の中に少なからず残っているのだと思います。
3-12.世代間ギャップをどう乗り越えるか
私は以前、文部科学省の委員を務めていたことがありますが、学校組織の中でも教育系の管理職と事務系の管理職では、考え方や価値観がかなり異なると感じていました。企業出身者が学校法人の事務部門を担うケースも多く、それぞれが異なる組織文化の中で育ってきています。
そのため、同じ組織の中にいても、仕事の進め方や部下との接し方に対する考え方が大きく異なることがあります。私自身、さまざまな組織で管理職研修を行ってきましたが、そのギャップを完全に埋めることはなかなか難しいと感じています。
実際、ある職場では、上司が当然と思っている指示の出し方やコミュニケーションが、若い世代には受け入れられないという場面も見てきました。逆に若い世代の考え方が理解できないという管理職も少なくありません。
おそらく、こうした価値観の違いは今後もしばらくは続くのではないでしょうか。だからこそ、一方が正しい・間違っているという話ではなく、お互いの前提や考え方の違いを理解しながら対話していくことが大切なのだと思います。
江黒:はい、確かにいました。
岡田:だから、「部下は言うことを聞いて当然だ」という考え方になるわけです。そして、思うように動いてくれなければ腹を立ててしまう。そういう価値観を持つ方も、以前は少なくありませんでした。ただ、今の日本の職場では、そうした考え方は少しずつ少なくなってきているのではないかと思います。
江黒:そうなんです。校長先生がいない時だけ校長室を使えるので、その裏でそういうことばかりやっているみたいで。娘も「うわさでは聞いていたけれど、こんな扱いを受けたのは初めてだよ」「もう、あんなのは嫌だ」と言っていました。
岡田:私の知る限りでは、PTAの方々には非常に丁寧に対応される一方で、教員に対しては必ずしも同じような接し方ではないと感じる場面もありました。
江黒:まさに年功序列のようですね。
岡田:文部科学省の委員会でも、「部下を守れない上司」が話題になることがありました。背景には、それぞれが異なる価値観や経験の中で管理職になっているという事情もあるのだと思います。
ただ、そうした管理職の多くは、部下育成やラインケアについて体系的な教育を受けてきたわけではありません。ですから、考え方やマネジメントのスタイルが現在の職場環境と合わなくなっている場合もあります。そのギャップを埋めるのは、なかなか簡単ではないと思います。
また、これは学校に限らず、どの職場でも起きていることですが、人手不足になると、必ずしも適性に合った配置ができるとは限りません。本来であれば十分な育成や適正配置が必要な場面でも、とにかく人を配置しなければならない。その結果、現場にさまざまな問題が生じることがあります。
実際に私が訪れた職場でも、ベテラン世代と若手世代の間で仕事の進め方や価値観をめぐって激しい議論が交わされる場面を何度も見てきました。これはジェネレーションギャップですから、しばらく続くのではないかと思います。
江黒:すみません、ありがとうございます。でも、やはり教育は大事だなと改めて思いました。
3-13.相談できる組織が人を守る
岡田:実際に、ある小学校の先生が自殺された事例がありました。その関係で教育委員会の方が文部科学省の委員会に参加されていたんですが、保護者対応をきっかけに大きな問題となり、十分な支援が得られないまま追い込まれてしまったというお話を伺いました。
教員の先生は、学校で問題が起きた時に誰に相談するかというと、意外と親御さんだったりするんです。一方で企業の場合は、厚生労働省の調査でも、困った時の相談先は上司なんですね。
ところが学校組織は、以前から言われている「鍋蓋構造」で、教員のすぐ上に相談できる管理職が少ない。教頭や校長はいても、必ずしも日常的に相談できる距離にいるとは限りません。
そう考えると、やはり上司が部下を守るということは非常に大事なんです。相談できる相手がいるかどうかで、その後の経過は大きく変わってきます。
だから私は、若い人たちも組織に任せきりにするのではなく、自分自身を守るという意識を持っておくことも必要ではないかと思っています。
江黒:一応、学校では「チーム学校」という考え方があって、相談の際には必ず教頭や校長といった管理職を交えましょう、ということになっているんです。ただ、結局のところ相談ができない。本来相談すべき相手がそういう状態では、相談しようがないよね、という話になってしまうのかな、と何となく感じています。
岡田:だから若い人たちが、自分でディフェンスをしないといけないと思います。
江黒:職場のことは職場で解決できるように、ということですね。つまり、相談することも仕事の一部であって、相談する時間もきちんと仕事のうちだ、という感覚を持ったほうがいい、ということですね。
岡田:そうですね。でもちょっと進歩しまして、残業代4%から今度増えますよね。
江黒:そうですね。給料の面だけは、ですね。ありがとうございます。
【最終回予告】 健康への投資は、本当に企業の利益につながるのでしょうか。 管理職教育、人的資本経営、健康経営――。いま企業に求められるのは、「健康を守る」ことではなく、「企業価値を高める投資」として健康を捉える視点です。 最終回では、「健康はコストか、投資か」をテーマに、経営と健康をつなぐ本質に迫ります。なぜ管理職への投資が組織の未来を左右するのか。健康への投資は、優秀な人材の確保や定着、生産性の向上、そして企業価値の向上へどのようにつながるのか。これからの時代、経営者は何に投資すべきなのか――。健康経営の本質を、経営の視点から考えます。