ワークショップ④「発注者・委託者の責任を考える」を統括して

 

株式会社梶原産業医事務所 梶原隆芳

 

本セッションの座長を務めさせて頂きました。
「働き方改革」が進む中、副業・兼業・フリーランス等の促進が図られています。従来、労働契約により構築された労使関係の中で、事業者は安全配慮義務、労働者は自己保健義務を有し、産業医は専門的立場からそれぞれの義務の履行を支援する役割を担っていました。ところが、副業・兼業・フリーランス等の働き方において、安全配慮義務や労働管理責任の所在が明確ではなくなり、従前の概念が必ずしも通用しない局面を迎えています。
これらの働き方における発注者・委託者の責任範囲の整理と、新しい安全衛生管理体制の構築を考えることが本セッションの狙いでした。
まず長年労働問題に関わられてきた弁護士の村本浩先生に、法的な立場から副業・兼業・フリーランス等の雇用形態やそれにまつわる課題について整理を行って頂きました。
次に建設安全の専門家である豊澤康男先生に、元方・発注者など重層構造の中で取り組まれてきた建設業界の安全衛生活動をご紹介いただき、今後の展望をお示し頂きました。
最後に産業医や企業の健康管理活動のコンサルタントとして幅広くご活躍されている竹田透先生に、現状における産業医の役割を整理していただき、副業・兼業・フリーランス等の働き方への産業医制度の展開についてご示唆を頂きました。
その上で、発注者・委託者の「リスク創出者管理責任負担原則」をどう考えていくのか、新しい働き方の中で産業医をどのように活用できるかなどについて議論が行われました。
近い将来、多くの事業所で直面することになるであろう課題について、大きなヒントがちりばめられています。
当日、ご都合が悪くて参加できなかった皆様も、是非オンデマンド配信でご覧ください。